
1985年、オーストリアのグラーツ・ドーム(大聖堂)で録画された、アーノンクールによるヨハネ受難曲。ほぼライブ収録とみられますが、録音期間が6月26〜30日となっているので、一部の楽曲は収録日以外から補われたのかもしれません。
J.S.バッハ ヨハネ受難曲 BWV245
- 第1部
- 第2部
- 指揮:ニコラウス・アーノンクール
- 演奏:ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
- 合唱:テルツ少年合唱団(ゲルハルト・シュミット=ガーデン指揮)
- 独唱:クルト・エクヴィルツ(T) トーマス・モーザー(T) ロベルト・ホル(Bs) アントン・シャリンガー(Bs)
- 監督:ハンフリー・バートン
- 録画:1985年
- 発売:Deutshe Grammophon 00440 073 4291
エヴァンゲリストは、旧盤CDと同じくエクヴィルツが受け持っていて、美しい、品格のある、そしてピリオド楽器演奏に親和した歌唱をきかせてくれます。ほかの男声のソリストは、やや違和感がありますが、なかなか安定しています。
高声のソリスト、そして合唱ともに、テルツ少年合唱団の歌唱は、集中力が高いものでした。アーノンクールによるクリスマス・オラトリオのDVDでの歌唱もそうでしたが、ディクションがとても美しく、歌詞が生きているのが魅力的です。
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスには、若き日のクリストフ・コワンやルカ・ピアンカなどが参加していますが、全体としてみれば、さすがに現在ほどの水準ではありません。
感動的なのは、最後のコラール。その前の合唱曲から、エクヴィルツをのぞく独唱者全員が合唱に参加して、作品をしめくくります。アーノンクールも、なんともいえない良い表情で指揮し、まさに有終の美です。